飽食の新時代。

今度は河村さんのお母さんと3歳になる娘さんがぐちゃぐちゃに潰されて火で熱せられて完全に固まってしまう前に炊きたてのボルボラをよそった丼に載せられて『親子丼』として客へ提供されていった。河村さんのお父さんは北田さんのところの12歳になる息子さんとぐちゃぐちゃに潰されて火で熱せられて完全に固まってしまう前に炊きたてのボルボラをよそった丼に載せられて『他人丼』として隣の客へ提供されていった。

北田さんのところのご主人は肛門に炊く前のボルボラとその他食材を詰め込まれて腹がパンパンになった状態をオーブンに入れられて、全身まんべんなく焼かれて焦げ目が付いたあたりでパーティー会場へ運搬されていき、シェフ自ずから客前で北田さんのところのご主人を器用に捌いて見せて客は舌なめずりをした。その隣では漁師が河村さんのところの9歳の息子さんの解体ショーを行いパーティーを盛り上げた。ちなみに北田さんのところの2歳になる娘さんは輪切りにされて骨付の状態で熱した平鍋の上に並べられ、赤い色をしたアルコホールを高い位置から落とされると平鍋のアルコホールは引火し、娘さんの肉片は豪快な青色の炎に包まれた。この瞬間、場内は一層盛り上がり、大量のカメラのフラッシュが眩しく瞬いた。

要するに河村さんとこと、北田さんとこは全滅した。

場所を変えると小岩井コーポ全24戸在住の成人女性は全員大きな小屋の中で各自柵に入れられていて、両乳に漏斗状のメカを装着されている。漏斗状のメカはホースで大きなタンクにつながっており、定時になるとタンク内の気圧がゼロ、真空になるから自動的かつ乱暴に搾乳が始まり、その時間になると小屋は悲鳴で溢れかえる。ちなみに小岩井コーポの男衆は捌かれて冷凍室に保管されていたけれど、その中の1体からややこしい病原体が発見されてしまい全体始末された。

かつて鯖沼ダイビングスクールがレッスンを行っていた海には鋼鉄糸の網で生簀が作られており、明日は大量のダイバーたちが引き揚げられる予定だ。その模様をテレビクルーが取材しており、活きのいい長嶋さんを漁師がその場で捌く。ウェットスーツを器用に剥がして内臓を取り除き、潮水でさっと洗ったものをレポーターがそのまま食べる。レポーターはおもしろコメントに定評があるから、長嶋さんを食った感想を笑いたっぷりでお送りするだろう。長嶋さんはかつては某広告代理店の管理職であった。客室乗務員を口説いて結婚し、子供は3人。愛人2人に隠し子1人がいたが、皆食われた。長嶋さんが最後のひとりであったが、その死に方は結局、さっさと捌かれて、海水で雑に洗われて、下品なレポーターの汚い口腔に一瞬で吸い込まれるという悲しいものだった。

D市では全員が捕獲され、無理やりドングリばかりを食わされ、ある程度肥えた者から順番に屠殺された。その肉は一時期大人気となったが、今は下火となってしまい、ドングリばかり食わされて頭のおかしくなった元住民が行き場を失い深夜になると元街にでて月に向かって吠え続けているらしい。D市の上岡市長は住民を提供することを条件に最後まで生き延びたが、逆に生き延びてしまったせいでドングリ肉の人気が落ちたあと、口腔から肛門に鋼鉄棒を貫かれて焚き火の上でくるくると回されながら丸焦げにされて絶命した。

ある地域で山田さんたちが食われていて、それを外の地域の住民たちが批判している。曰く「山田さんは頭がいいのに食べるなんて残酷だ」とのことであるが、その地域の住民たちは別の地域の住民たちが白川さんたちを食うことについて批判。「白川さんは食べ物ではない、ペットだ」との言い分である。

とある学校では命の大切さと食べ物のありがたさを学ぼうということで、一人の宮崎くんを飼い、それを皆で育ててある程度育ったら屠殺して皆で食うかどうするか決めようという授業が行われ、それが注目を浴びて映画化されることになった。その宮崎くんは両親を目の前で捕獲されたが、まだ幼いのを理由に別の施設に連れていかれた、3歳の男の子である。最終的にこの宮崎くんを食うべきか食わざるべきか、クラスの意見はふたつに分かれて様々な議論がなされたが、結局宮崎くんは屠殺されて食われる。担任教師は「子供たちが命について考えるいい機会になったと思う」と胸を張り、翌年著書を出すことになる。

夏は暑くて食欲が湧かないから元気も出ないということで、木村屋は精力増強に効果があると謳い、木村さんの蒲焼を売る戦略に出た。客前で木村さんの眼球に鋭利な串を叩きつけてぬるぬるする木村さんの身体を固定し、器用に捌いていく様子はさすが職人である。ちなみに先日入荷された木村さんは実母を介護施設へ送り届けた帰り道に捕獲された。木村さんの実母は施設ごと捕獲されたが鮮度が低いということである者は捨てられて残りは桜の木片と共に長時間燻されて燻製にされた。

北国では幼稚園が相次いで襲われ、園児たちは皆、生きたままの状態で踊り食いにされた。食べた者は「口の中で動く!」と、稀有な体験を興奮気味に話し、踊り食いは一躍大人気となった。

10月第一週日曜日は塩谷猟の解禁日である。武器を持った者たちが山に踏み入り塩谷さんを撃ち殺しては、その場で捌いた。また、中には街へ出て暴れる塩谷さんもいたので、猟友会の者だけは、禁猟期間も塩谷さんの銃殺を許されていた。先日撃ち殺された塩谷さんは家族の空腹をなんとかしようと、街に出て食糧を探していたところ、猟友会に殺された。家族はその年の解禁日当日、殺された塩谷さんの皮膚を剥いで中に綿を詰め、まるで塩谷さんが帰ってきたかのように見える人形に近づいたところをハンターたちに一斉に射殺された。

この夏、小野さんの生肝臓の店舗での提供が禁止された。ある小野さんの肝臓を食べたものたちが相次いで食中毒にかかったためであるが、小野さんの生肝臓のファンは多く、「新鮮な小野なら大丈夫なんじゃないのか?」という抗議もあったが、やはり「命が一番大切」ということで6月30日を最後にすべての店舗で小野さんの生肝臓の提供は終わった。最終日には普段の3倍の小野さんが使用されたという。

その中には今回のこの前代未聞の危機。人類最後の危機。突如現れた圧倒的脅威「侵略者」に立ち向かうべく世界各国の軍隊が結集して作った『地球連合軍』の日本支部 作戦統括部長、小野秀明の肝臓もあった。

人類は完全に敗れ、食生活を模倣され、自分たちがそうしてきたように次々と様々な調理法で食われた。愉しまれた。蹂躙された。

家族を顧みず、人類の生き残りのためだけに命をかけて使命を全うしようと寝食を忘れて戦った小野秀明の肝臓は状態が悪く、本来なら出してはいけない「ランク€」のものであったが、ブームに乗じて密かに店に出されたのである。小野秀明の肝臓を食べたのは子供の『侵略者』であった。彼は携帯ゲーム機を片手に実にあっさりと一口で小野秀明を滅した。子供は「なんかクサい」とだけ言って、そのままゲームの世界に戻っていく。あまりにも不憫だ。

しかし小野秀明の遺志はまだ死んでいなかった。

翌日、子供の『侵略者』は腹を壊して学校を休む。小野秀明の生肝臓の最期の一矢であった。

しかし腹痛はたいして重症でもなく、医者からは胃薬と整腸剤を処方されただけで一日安静にすれば治ると言われた。子供の『侵略者』は少しだけ痛む腹をさすりながら、学校に行かなくてもよくなったこと、一日中ゲームをできることを喜んだ。

ちょうど、近くの牧場で小岩井コーポの成人女性が悲鳴を上げる時間帯である。その様子を『侵略者』たちは「のどかだなぁ」と表現するのである。



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