ブリュターニュ地方のやむにやまれぬ事情。

NHKを見ていたら、フランスのブリュターニュ地方の民族衣装に関するドキュメンタリーをやっていました。

ブリュターニュの女性は、古来より『コワフ』という帽子をかぶっていました。

『コワフ』
『コワフ』は真っ白なレースのカーテンみたいな帽子です。きめこまやかで美しい模様と形状が特徴的なのですが、模様と形状は地域によって全く異なり、ある地域ではベールの形をしていたり、ある地域ではコック帽の形をしているため、その土地土地のシンボルでもあるのです。

かつてブリュターニュの女性たちは、自分の故郷ならではの『コワフ』を当たり前のようにかぶっていたのですが、産業革命以降、発達した鉄道により、ブリュターニュ地方の人々がパリのファッション文化に触れるようになると、『コワフ』は徐々に衰退し、今ではほとんどかぶる人もいなくなってしまったそうです。

テレビでは老婆3人が、『コワフ』をかぶらなくなってしまった若い女性を嘆き、カメラに向かって息つく間もなく、メッセージを伝えていました。

「『コワフ』は先祖代々この土地に生きてきた者たちの伝統、証なの」
「そうよ、だから毎日かぶらなければいけないの」
「そう。『コワフ』は先人の教え。そして先人のご加護なの」
「若いあなたがた。現代のファッションもいいけれど、『コワフ』を忘れてはいけませんよ」
「『コワフ』だけじゃないわ。民族衣装も着なければダメなのよ」
「そう、民族衣装は必ず着なければダメ」
「民族衣装は先祖が子孫に残した宝物なのよ」
「そう、民族衣装の場合は必ず着なければダメよ」
「『コワフ』は別に毎日着なくてもいいわ」
「そうね、その通り。『コワフ』は毎日かぶれないかもしれないわね」
「そうね、毎日は厳しいわね」
「いいのよ、『コワフ』は毎日かぶれなくていいから、民族衣装は必ず着なさい」
「そうよ、『コワフ』は遅かれ早かれかぶれなくなるの。私たちも年々かぶるのが億劫になってきているわ」
「頭の上まで手があがらなくなるのよ」
「ねー」
「そうよ。だから『コワフ』は無理にかぶりなさいとは言わないわ。民族衣装を着なさい」
「そうよ、みんな、民族衣装を着なさい」

いつの間にか『コワフ』はいいから民族衣装を着なさいになっていて、NHKは時々真顔でこんな放送するもんやから、ぼくは面白くて、笑いながら泣きました。



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