オレ、炊飯して。
炊飯を頼むと、烈火の如く高温になる奇病に罹った炊飯器のせいで、毎回白米が玄米だ、古代米だの様相を呈してしまうようになり、こんな故障した炊飯器など棄ててしまって、最新式のええやつを買うてやるんです、僕は。と息巻いていたのも束の間、調べてみると最新式のええやつは皆べらぼうに高価で、負債こそないものの、大飢饉により村民が自分の糊口をしのぐので精一杯である水野村なんぞにそんな炊飯器代を捻出できる余裕もなく、僕は毎日烏賊を囓って笑っていた。烏賊を囓ると、なんだか笑ってしまわないか?
そんな僕の炊飯人生に転機が訪れた。
或る日、さすがにここまで汚れてきた部屋を掃除しなかったら保健所が来るぞと改心し、「保健所が来るぞー、きゃーっ!」とか言って巫山戯ながら家中を掃除、やがて僕の雑巾号は台所にまで進出し、流し台の下にあるモノ入れにまで清掃の触手を伸ばしていたら、モノ入れの奥の奥。
これ以上向こうにはきっとたぶん壱百万匹のゴキブリしかいないぞというほど奥まった場所に、なんと圧力鍋が封印されていたのである。
彼の名は『活力なべ』。
旭精機さんご提供の、かつて一世を風靡した高機能圧力鍋である。なぜ彼がここに鎮座ましまして、埃まみれになっているのかについての理由はこの場では割愛するけれど、とにかく僕は圧力鍋を手に入れたのである。
圧力鍋なんてモノは、爆弾と一緒だと思っている僕は、何の助けもなく活力なべを使用する勇気が出ず、せっかく片付きかけていた部屋中の彼方此方をひっくり返してようやく活力なべの取扱説明書を発掘。繙いてみると、「白米を炊こう」なるページに遭遇し、僕はガッツポーズを決めてタンカレーをストレートで流し込んで、んで咽せた。
爾来、僕は米を圧力鍋で炊いている。
水に数十分米を浸して、それから強火で沸騰するまでガンガンに熱して、ガスみたいなんが吹き出したら弱火で1分。内圧栓が下がるまで待って蓋を開けると、そこは一面の銀世界である。
説明書によると、
米が完全なご飯になることを「アルファ化」と呼ぶ理系的センスはさておき、実際圧力鍋で飯を炊くと、なんだか灰色がかって見える。というか、クラスにいた存在感が薄いやつ、みたいな様子なのだけど、食うと、これがうまいのである。
まぁ、調理に手間がかかり、数十分も米を水に浸しておかなければいけないため待ち時間も長いから、そういう意味で美味いのかもしれないけれど、理由はどうであれ、僕が「うまい飯を食うている」と思えていることが肝要なのである。
ということで今日体重を量ってみたら、これまで停滞していた体重が、少しだけまた、右肩上がりを始めている。
「愛嬌ある百貫デブ」がもうすぐそこ、僕の手の届く距離にまで近付いてきた気がして、今僕はおにぎりを片手に、米粒だらけの手でこの日記を書いているからまた掃除をせなアカン。そうすると、また新たな圧力鍋を発見してしまいそうで恐い。
ちなみに、阿呆の炊飯器だけれど、なぜか保温だけを指令すると、温和しく聞き入れることがわかったので、圧力鍋で炊いた米を、炊飯器で保温している。「こだわりの炊飯」という感じがするが、使てる米が無洗米なので、恥ずかしい。
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そんな僕の炊飯人生に転機が訪れた。
或る日、さすがにここまで汚れてきた部屋を掃除しなかったら保健所が来るぞと改心し、「保健所が来るぞー、きゃーっ!」とか言って巫山戯ながら家中を掃除、やがて僕の雑巾号は台所にまで進出し、流し台の下にあるモノ入れにまで清掃の触手を伸ばしていたら、モノ入れの奥の奥。
これ以上向こうにはきっとたぶん壱百万匹のゴキブリしかいないぞというほど奥まった場所に、なんと圧力鍋が封印されていたのである。
彼の名は『活力なべ』。
旭精機さんご提供の、かつて一世を風靡した高機能圧力鍋である。なぜ彼がここに鎮座ましまして、埃まみれになっているのかについての理由はこの場では割愛するけれど、とにかく僕は圧力鍋を手に入れたのである。
圧力鍋なんてモノは、爆弾と一緒だと思っている僕は、何の助けもなく活力なべを使用する勇気が出ず、せっかく片付きかけていた部屋中の彼方此方をひっくり返してようやく活力なべの取扱説明書を発掘。繙いてみると、「白米を炊こう」なるページに遭遇し、僕はガッツポーズを決めてタンカレーをストレートで流し込んで、んで咽せた。
爾来、僕は米を圧力鍋で炊いている。
水に数十分米を浸して、それから強火で沸騰するまでガンガンに熱して、ガスみたいなんが吹き出したら弱火で1分。内圧栓が下がるまで待って蓋を開けると、そこは一面の銀世界である。
説明書によると、
圧力鍋で白米を炊くと、米のデンプンが完全にアルファ化(米が完全なご飯になること)し、透き通って見えるため、蓋を開けた瞬間米が銀色、もしくは灰色に見えることがあります。とのこと。
米が完全なご飯になることを「アルファ化」と呼ぶ理系的センスはさておき、実際圧力鍋で飯を炊くと、なんだか灰色がかって見える。というか、クラスにいた存在感が薄いやつ、みたいな様子なのだけど、食うと、これがうまいのである。
まぁ、調理に手間がかかり、数十分も米を水に浸しておかなければいけないため待ち時間も長いから、そういう意味で美味いのかもしれないけれど、理由はどうであれ、僕が「うまい飯を食うている」と思えていることが肝要なのである。
ということで今日体重を量ってみたら、これまで停滞していた体重が、少しだけまた、右肩上がりを始めている。
「愛嬌ある百貫デブ」がもうすぐそこ、僕の手の届く距離にまで近付いてきた気がして、今僕はおにぎりを片手に、米粒だらけの手でこの日記を書いているからまた掃除をせなアカン。そうすると、また新たな圧力鍋を発見してしまいそうで恐い。
ちなみに、阿呆の炊飯器だけれど、なぜか保温だけを指令すると、温和しく聞き入れることがわかったので、圧力鍋で炊いた米を、炊飯器で保温している。「こだわりの炊飯」という感じがするが、使てる米が無洗米なので、恥ずかしい。
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