記念日の再定義。

例えば、一見華奢にみえて、弱気な担当者にちょっとふっかけて、強気な見積書を出してみたところ、そいつは弱気に見せといて元ヤン、元々ヤンキーだったというそんな担当者の逆鱗に触れ、唐突にパチキかまされて折り畳み椅子でシバき回され、ケツのアナルに3色ボールペンを突き立てられ、突き刺さったボールペンを中に打ち込まれるような角度でケツを踏まれて、「おととい来やがれ、どさんぴんがっ!塩持てこい!塩持てけつかれ!」という怒号に追い出される形で取引先をしくじる。

こんなことも、社会人、社会民なら一度や二度はあるだろう。会社に戻れば既に、さっきの逆鱗アナルハンマー担当者が貴殿の上司に電話を入れており、その内容たるや事実無根の冤罪以外のなにものでもないのだけれど、貴殿にはもはや申し開きをする気力はなく、ただケツに刺さったままの3色ボールペンを抜くべきか、家に帰るまでそのままにしとくべきか、帰り道に医者行くべきか、そればかりに気を取られ、上司の怒声も分厚いぶよぶよの膜の向こうから聞こえてくるような感じで、そんな貴殿はたぶん涎を垂らしていたり虚ろな目で最近配属されてきた巨乳社員を眺めていたりもするだろうし、そんな無反応・無反省な貴殿を見て怒髪天な上司が目ざとく見つけたのは、最前から貴殿のケツのアナルに突き刺さったボールペンで、上司はニヤリ笑ったかと思うと思い切り狙いを、貴殿のケツからまっすぐ伸びる「赤・黒・シャーペン」のボールペン、その頂点に狙いを定めて、蹴りを、足の裏による蹴りを、思い切り繰り出そうとする…のが貴殿に瞬時に伝わって、「ぎゃあぁぁ!やめてーっ!そこはもう、そこはもう限界のレベルぅ~!」と貴殿は泣き叫び、喚き散らして逃走。取るものとりあえず逃走した貴殿は、ケツからボールペンをぶら下げたまま早退。

早退したとなると妻を心配させるから、いつもの帰宅時間になるまで、砂場と鉄棒とイカをモチーフにした気味の悪い総合遊具しかない名も知らぬ公園でぼーっと立っている。貴殿は立つしかない。ケツにボールペンが刺さっていてどこにも座れないからね。

22時30分。公園で、ケツのアナルにボールペンを突き立てたまま8時間棒立ちを続けた貴殿はそれでも男だから、マンションの正面玄関から中に入った瞬間、精一杯気持ちを切り替えて、ボールペンも引き抜いて、全力の笑顔でいつものように「ただいま~」と言うて陽気に三和土で靴を脱いで、本当は一目散にトイレに駆け込み、傷の具合を確かめたいのだけれど、それでは怪しまれるからまずはリビングで一度妻に顔を見せようとするだろう、殊勝である。まこと、殊勝である。

しかし、一方妻はあなたが昼間に取引先をしくじったことも、あなたがケツのアナルにボールペンをぶち込まれたことも、それを上から踏まれて内部に深く打ち込まれたことも、上司からも面白半分でケツを踏まれかけたことも、早退せざるをえなかったことも、早退したことを知られないために、ケツからボールペンをぶら下げたまま8時間棒立ちを続けたことも、夕陽が、貴殿と貴殿からぶら下がるボールペンを映して、地面にカタカナの「ト」のシルエットが描いていたことも、一切知らず、まぁそれは貴殿も望んだ結果ではあるのだけど、まぁ一切を知らない妻は、リビングに入ってくる貴殿をギンと睨みつけて、「今日がなんの日だか、覚えてる?」と質してくるのである。


そう、その日は貴殿と貴殿の妻との9回目の結婚記念日だったのである。


こういったエピソードを思い浮かべるにつれ、僕には浮かぶ疑問がある。それは『記念日の定義』についてである。例えば、通常5月29日(土)に結婚式を挙げた人の結婚記念日は、毎年の5月29日になるのだろうけれど、それってどうなん? だいじょぶなん? と思うのである。というのも、結婚式当日は、そら5月29日は土曜日で、週末で、だからこそ親族を始め、職場の同僚、9年後に貴殿のケツの穴のボールペンを深く打ち込もうとして失敗することになる上司、友人知人が休日を利用して集まってくれたわけである。

けれど、1年後、2年後となると、5月29日が平日となることもある。むしろ、5月29日は7分の5の確率で平日である。なんかよくわからん水曜日に、会社に行って帰ってきて、結婚記念日の祝杯を挙げるとき、違和感はないだろうかと感じるのである。

僕なんかは結婚生活が1年も続かなかったので、ついに結婚記念日を迎えることが一度もできなかったが、それでも、2008年10月の第1土曜日にあたる10月4日に結婚式を挙げた僕が感傷的になったのは、2009年10月4日(日)ではなく、10月3日(土)、もっと言えば、10月2日金曜日の夜から、3日の朝にかけての、あの緊張感。「明日はいよいよ結婚式だよ」という高揚で眠れなかったあの一晩の方が印象的だった。
そもそも、結婚記念日を忘れたり、十全にお祝いできないのは、日付に縛られることで、記念日が平日になったり、とにかくごく普通の日になってしまうからではないだろうか。

つまり、結婚記念日や交際記念日というのは、日付で縛るのではなく。「○月の第○日曜日」というように、曜日で決めるべきだと思うのである。

日曜日に結婚式を挙げた夫婦は、毎年その日曜日に祝い事をすればいいのである。そこにはポーカーフェイスでアナルハンマーな担当者もいないし、追い討ちをかけて3色ボールペンをより深くにまで打ち込もうとする上司もいない。

会社で、仕事が忙しくなれば、そりゃ記念日どころの話じゃなくなる。
「今日はもう・・・メシもいらねぇ」と独身の僕でさえ思うくらい疲弊する日もある。日付に縛られてしまうと、そういった危険性が伴う。ケツのアナルにボールペンを刺したまま、神聖なる結婚記念日を祝いたくはないだろう? そもそも、交際記念日なんかだと、スケジュールを合わせるのだって一苦労じゃないか。

だからここに、記念日の再定義を提案したいと思う。

2010年5月29日土曜日に結婚する人は、毎年5月の最終土曜日を結婚記念日とすべし。
当時を振り返るにしても、同じ曜日の方が思い出せることも多いぜ、きっと☆

さーて、結婚記念日でもなんでもないけど、ケツのアナルに突き刺さったボールペンを抜いて、洗って、あ、ケツじゃなくてボールペンをね。ボールペンを綺麗に洗って、明日、取引先担当者に土下座しにいくか。

でも、こんなケツのアナルだと、土下座も厳しいかもな。



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