神のいぬ間に。「国産み篇」【長文前編】
日本の神話が面白い。
昨晩、イザナギとイザナミに始まる『国産み』と『神産み』の話を読んでいて、面白かったので忘れないうちに書いておこうと思う。
日本列島が誕生するまでの伝説として、イザナギ(ノミコト)とイザナミ(ノミコト)が、アダムとイブのような立ち位置にいて、このふたつの神(二神)によって、国土が生み出され、神々が作られた。国土が生み出される物語を 「国産み」、神々が生まれてからの物語を「神産み」 と呼び、『古事記』や『日本書紀』に記されている。
まずは『国産み』の話。
国が生まれるまでの日本はまさに混沌であり、まず大地がなかった。神々は天空から下界に広がる混沌を眺めていた。そんなシチュエーションで、まず『天地開闢(かいびゃく)』という時代が起こった。最初は性別のない神々が何柱も生まれた(神を数える単位は「柱」) 。それからしばらく経って、性別を持った男女一対の神が五組(10柱)生まれた。この中で最後に産まれた男女一組の神が、イザナギ(男)とイザナミ(女)である。
このイザナギとイザナミが、日本列島を作り上げるのだけれど、『古事記』に掲載されている日本列島誕生のエピソードが、なんとも間が抜けていて面白い。
まず、コトアマツガミ(別天津神)というよくわからん神様が、イザナギ&イザナミに 「大地を作れ」と命じる。そのとき「これを使いなされ」 つってイザナギに手渡したのが、矛(ほこ)1本だけだったという。
いくら何でも頼りなさすぎる、スコップとかならまだしも『矛』ってなんやねん。それは突き刺すときに使うものやないけ、そんなもんで島なんかこしらえられるかぇー、と長めのツッコミを思うていたら、しかしイザナギのオッサンは平気だった。
その一本の矛をむんずと掴むと、天浮橋という天空の橋の上から、下界に広がる混沌に向かって「えいやー!」と突き刺して、そのまま「うりゃー、うりゃー、うりゃりゃー」つってクルクル。混沌を矛でかき混ぜて引き抜いたら、矛の先から垂れる雫に含まれていた塩分が積もり積もって、あーら不思議、瞬く間にひとつの島が誕生しました。
最初の大地、『淤能碁呂島(おのごろじま)』は、こうして誕生してしまったのである。「混沌を矛でかき混ぜたら塩が垂れる」というのは、あまりにもシュール。
「混沌ってのは舐めるとしょっぱいんだよ、古事記にもそう書いてある。昔からそうなんだ」なんて台詞が青春小説にありそうだ。
まぁこのように、ネルネルネルネの要領で、まるで飴細工のように誕生したオノゴロ島に初めて降り立ったイザナギとイザナミ。この世に大地が誕生した感動的な瞬間である。
島に降りた二人は、早速次の国(島)を作ろうと考えた。この時のふたりの会話がもう無茶苦茶なのである。というのもふたりの会話、これが完全に下ネタで構成されているのである。Wikipediaによると、以下の通りである。
僕たちの歴史を遡ると、神々がこんなレベルの下ネタを話していたシーンに行き当たるのか、日本列島はあんな程度の低い下ネタを地盤に作り上げられたのか…
暇を持て余した、神々の、下ネタ。
と呟いて悲しい。
実際、このあと二神は性交をする。そしてそのまま子供を授かるのだけれど、はじめの2回、ふたりの間には「ちゃんとした子供が生まれなかった」のだそうだ。最初の子供である水蛭子(ヒルコ)なんかは、船に乗せられてどっかに流されてしまっている。んで、ちゃんとした子供ができないということで困ったイザナギとイザナミが、またあのややこしい神様であるコトアマツガミ(別天津神)に相談に行ったところ、 「女の方から性交に誘うからダメなんだ」ということを言われてしまう。
露骨すぎるやろ、コトアマツガミ。
もうちょっと言葉選ぶなり、オブラートに包めよ。イザナミが淫乱みたいな感じになってしもてるやないか。可哀想やないか。そもそも「わが身の成り余れる処を以て(オレのギンギンのやつで)…」って切り出したんはイザナギの方なんやからさ。
結局、コトアマツガミにアドバイスを受けた二神は、帰宅早々に交わるのだけど、ちゃんとコトアマツガミの言いつけを守って、性交中イザナミは一切口を開かなかったそうだ。なんだか切ないね。
こうして二神は「子供を産む」という形で日本列島の島々を作り上げていく。
最初に生まれた島が、淡道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま)、
今の『淡路島』である。
もうびっくりだ。淡路島がいきなり出てきてびっくりである。日本で最初にできた島が、なんたることか、うちの近所の淡路島なのだという。
意外である。
というか、「別に淡路島じゃなくてもよかったんじゃないか?」と思う。淡路島に「日本で最初にできた島」の座は、ちょっと重たいんじゃないかなって。
ちなみに最初の大地『淤能碁呂島(おのごろじま)』は架空の場所、 「遥か遠くにある場所」だと言われている。もちろん実在していると主張している人もいて、そんな人たちの中には「淤能碁呂島こそ、淡路島だ!」と言うてる連中がいるらしいけれど、淡路島のことはもうそっとしておいてほしい。正直、淡路島に『日本最初』は大役過ぎるって。
また、『古事記』によると、本州は最後(8番目)にできたらしい。これまた最後に集大成のようにでっかい子が産まれてきたんやな。『国産み』が7番目で止まってたら、日本は領土のほとんどが海で、「日本諸島」と呼ばれていたのかもしれないのである。
このように、『国産み』の話は面白い。
『神産み』の話も面白いのだけれど、長くなりすぎたので、次に。。。
□神のいぬ間に。「神産み篇」
⇒http://poeticalprivate.blogspot.com/2010/11/17-wikipedia-18.html
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昨晩、イザナギとイザナミに始まる『国産み』と『神産み』の話を読んでいて、面白かったので忘れないうちに書いておこうと思う。
日本列島が誕生するまでの伝説として、イザナギ(ノミコト)とイザナミ(ノミコト)が、アダムとイブのような立ち位置にいて、このふたつの神(二神)によって、国土が生み出され、神々が作られた。国土が生み出される物語を 「国産み」、神々が生まれてからの物語を「神産み」 と呼び、『古事記』や『日本書紀』に記されている。
まずは『国産み』の話。
国が生まれるまでの日本はまさに混沌であり、まず大地がなかった。神々は天空から下界に広がる混沌を眺めていた。そんなシチュエーションで、まず『天地開闢(かいびゃく)』という時代が起こった。最初は性別のない神々が何柱も生まれた(神を数える単位は「柱」) 。それからしばらく経って、性別を持った男女一対の神が五組(10柱)生まれた。この中で最後に産まれた男女一組の神が、イザナギ(男)とイザナミ(女)である。
このイザナギとイザナミが、日本列島を作り上げるのだけれど、『古事記』に掲載されている日本列島誕生のエピソードが、なんとも間が抜けていて面白い。
まず、コトアマツガミ(別天津神)というよくわからん神様が、イザナギ&イザナミに 「大地を作れ」と命じる。そのとき「これを使いなされ」 つってイザナギに手渡したのが、矛(ほこ)1本だけだったという。
いくら何でも頼りなさすぎる、スコップとかならまだしも『矛』ってなんやねん。それは突き刺すときに使うものやないけ、そんなもんで島なんかこしらえられるかぇー、と長めのツッコミを思うていたら、しかしイザナギのオッサンは平気だった。
その一本の矛をむんずと掴むと、天浮橋という天空の橋の上から、下界に広がる混沌に向かって「えいやー!」と突き刺して、そのまま「うりゃー、うりゃー、うりゃりゃー」つってクルクル。混沌を矛でかき混ぜて引き抜いたら、矛の先から垂れる雫に含まれていた塩分が積もり積もって、あーら不思議、瞬く間にひとつの島が誕生しました。
最初の大地、『淤能碁呂島(おのごろじま)』は、こうして誕生してしまったのである。「混沌を矛でかき混ぜたら塩が垂れる」というのは、あまりにもシュール。
「混沌ってのは舐めるとしょっぱいんだよ、古事記にもそう書いてある。昔からそうなんだ」なんて台詞が青春小説にありそうだ。
まぁこのように、ネルネルネルネの要領で、まるで飴細工のように誕生したオノゴロ島に初めて降り立ったイザナギとイザナミ。この世に大地が誕生した感動的な瞬間である。
島に降りた二人は、早速次の国(島)を作ろうと考えた。この時のふたりの会話がもう無茶苦茶なのである。というのもふたりの会話、これが完全に下ネタで構成されているのである。Wikipediaによると、以下の通りである。
イザナギ(男)「汝(いまし)が身(み)はいかに成れる」現代語に訳すと、このようになる。
イザナミ(女)「わが身はなりなりて成り合はざる処一処あり」
イザナギ(男)「わが身はなりなりて成り余れる処一処あり。故(かれ)このわが身の成り余れる処を以て、汝が身の成り合はざる処を刺し塞ぎて、国土(くに)を生み成さんと以為(おも)ふ。生むこといかん。」
イザナギ(男):「あなたの体はどのようにできていますか」お前らなにを言うとんねん。ド下ネタやないか。「わが身の成り余れる処を以て、汝が身の成り合はざる処を」って、何をうまいこと言うた感じにしとんねん。
イザナミ(女):「私の体は成長しましたが、まだ成長していないところが1ヶ所あります」
イザナギ(男):「私の体は成長しましたが、成長し過ぎたところが1ヶ所あります。そこで、この私の成長し過ぎたところで、あなたの成長していないところを刺して塞いで、国土を生みたいと思います。生むのはどうですか。」
僕たちの歴史を遡ると、神々がこんなレベルの下ネタを話していたシーンに行き当たるのか、日本列島はあんな程度の低い下ネタを地盤に作り上げられたのか…
暇を持て余した、神々の、下ネタ。
と呟いて悲しい。
実際、このあと二神は性交をする。そしてそのまま子供を授かるのだけれど、はじめの2回、ふたりの間には「ちゃんとした子供が生まれなかった」のだそうだ。最初の子供である水蛭子(ヒルコ)なんかは、船に乗せられてどっかに流されてしまっている。んで、ちゃんとした子供ができないということで困ったイザナギとイザナミが、またあのややこしい神様であるコトアマツガミ(別天津神)に相談に行ったところ、 「女の方から性交に誘うからダメなんだ」ということを言われてしまう。
露骨すぎるやろ、コトアマツガミ。
もうちょっと言葉選ぶなり、オブラートに包めよ。イザナミが淫乱みたいな感じになってしもてるやないか。可哀想やないか。そもそも「わが身の成り余れる処を以て(オレのギンギンのやつで)…」って切り出したんはイザナギの方なんやからさ。
結局、コトアマツガミにアドバイスを受けた二神は、帰宅早々に交わるのだけど、ちゃんとコトアマツガミの言いつけを守って、性交中イザナミは一切口を開かなかったそうだ。なんだか切ないね。
こうして二神は「子供を産む」という形で日本列島の島々を作り上げていく。
最初に生まれた島が、淡道之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま)、
今の『淡路島』である。
もうびっくりだ。淡路島がいきなり出てきてびっくりである。日本で最初にできた島が、なんたることか、うちの近所の淡路島なのだという。
意外である。
というか、「別に淡路島じゃなくてもよかったんじゃないか?」と思う。淡路島に「日本で最初にできた島」の座は、ちょっと重たいんじゃないかなって。
ちなみに最初の大地『淤能碁呂島(おのごろじま)』は架空の場所、 「遥か遠くにある場所」だと言われている。もちろん実在していると主張している人もいて、そんな人たちの中には「淤能碁呂島こそ、淡路島だ!」と言うてる連中がいるらしいけれど、淡路島のことはもうそっとしておいてほしい。正直、淡路島に『日本最初』は大役過ぎるって。
また、『古事記』によると、本州は最後(8番目)にできたらしい。これまた最後に集大成のようにでっかい子が産まれてきたんやな。『国産み』が7番目で止まってたら、日本は領土のほとんどが海で、「日本諸島」と呼ばれていたのかもしれないのである。
このように、『国産み』の話は面白い。
『神産み』の話も面白いのだけれど、長くなりすぎたので、次に。。。
□神のいぬ間に。「神産み篇」
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